広島さん。

某カープ好きグループにてだらだら書きました。

その八十五。

僕の同級生、広島さんは隣のクラスの人気者。

だけど、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。


『ねえ、湯川くん!!』
『何、広島さん?』
『この前ね、サインをもらったんだよ!!』
『へえ、誰のサイン?』
『ふふっ、誰だと思う?』
『質問を質問で返したね』
『よくお母さんがお父さんにやってるよ!!』
『広島さんのお母さんがお父さんにやってるから許されるやつだね』
『そうなの?』
『人によっては「うわ、こいつめんどくせぇ」って思われるから気をつけようね』
『湯川くんもそう思った?』
『そんな事はないよ、だって広島さんだし』
『私だとなんでめんどくさくないの?』
『そ・・・それは、どうでもいいじゃない』
『なんで目をそらすの?』
『そ、それよりさあ、ヒントをくれないと!!』
『あ、そうだね!!ノーヒントじゃわかんないよね!!』
『・・・そうそう。お願いします!!』
『ヒントその一、「カープの人」です!!』
『それってほぼノーヒントだよね』
『わかんない?じゃあヒントその二、「元カープの人」!!』
『まだ広すぎるなぁ』
『ヒントその三、「コーチで日本一に王手をかけました」!!』
『だいぶ狭まったね。日本一にはなっていないんだ?』
『そうです!!』
『最近の話?』
『そうです!!』
『(じゃあ古葉さんや山本さんの頃じゃ無くて、緒方さんの頃のコーチか)・・・その人は、野手コーチ的な人ですか?』
『そうです!!』
『今は、カープにいない人ですか?』
『さえてるね!!』
『はい、わかりました!!(手を上げる)』
『はい湯川さん!!』
石井琢朗さん!!』
『ぶっぶー、残念でした!!』
『えっなんで!?』
『惜しいね、湯川くん!!』
『間違ってないでしょ!?日本一に王手をかけてて』
『そう!!』
『それが最近の話で』
『そうそう!!』
『野手コーチ的な人で、今はカープにいない』
『全部その通りだよ!!』
『じゃあ、石井さんじゃ・・・』
『正解は、この人です!!(色紙を取り出す広島さん)』


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『・・・ごめん、読めないや。一体誰なの?』
町田公二郎さんだよ!!』
『引っかけ問題だよ、それって!!』
『えぇ、そうかな?お父さんと母さんはすぐ当てられたよ』
『むしろそっちの方がスゴいよ』
『だって、すぐわかるでしょ?日本一に王手をかけて』
全日本大学選手権でね』
『最近の話で』
『先月(令和三年六月十三日)のお話だものね』
『野手コーチで、今はカープにいない』
福井工業大学だものね』
『ここまでヒント出してて、分からないんだ・・・』
『いや、あのね・・・まあ、いいや。でも、よくこんなのもらえたね』
『お祖父ちゃんが知り合いだから!!』
『ああ、監督ってカープのOBに知り合い多いんだっけね。澤崎さんとか・・・
『ホントスゴいよ、お祖父ちゃん!!』
スラィリーと友達の広島さんの方がもっとスゴいけどね』
『これで浅井さんと町田さんが揃ったんだ!!』
浅井樹さんも持ってたんだ』
『これでやっと「ビッグレッドマシン・代打の切り札」セットの完成だよ!!』
『僕らがまだ生まれてない頃のお話だし、マニアックだね』
『そう?』
『そうだよ・・・でも、広島さんってスラィリーと知り合いだし、現役選手のサインは大体もらえるんじゃない?』
『そんな事ないよ。今持ってるのだって、投手は澤崎さんでしょ、長富さん、紀藤さん、清川さん』
『OBしかいないよね』
『野手は、町田さんと浅井さんの他は、長内さん、音さん、長島さん、ランスさん・・・なんかニワカっぽいでしょ?』
『充分シブいよ。みなさん監督の知り合いなんだ?』
『うん。お父さんの友達とかに話すと、すっごくうらやましがるよ!!』
『そうだろうね』
『湯川くんもうらやましかったりする?』
『ごめんね、うらやましいかっていえばそうなんだけど、もう一つピンとこないのも確かなんだよ』
『由宇ちゃんもおんなじ事云ってたよ!!』
『だろうね。現役の人のは持ってないの?』
スラィリーのくらいかな』
『ヒトって云ったと思うんだけど・・・って、スラィリーってサインあるの?』
『ううん、身体の毛』
『僕らサインの話をしてたよね?』
『あ、そっか!!』
『うっかりなんてレベルじゃないね。大瀬良さんとか持ってるんじゃないの?』
『ううん、現役の人のサインは全然持ってないよ』
『そうなんだ、意外だね。スラィリーに頼めば、それこそクレートさんのサインでも手に入りそうなのに』
『だってさ、そんなズルしてもらっても、嬉しくないよ』
『チケットはもらうのに?』
『それは、由宇ちゃんや湯川くんと試合観に行けるのが楽しいから・・・(困り顔)』
『ごめんなさい、ちょっと意地悪だったね。確かに広島さんのおかげでずいぶん試合を観に行けたものね。有り難う』
『どういたまして!!ねぇ、湯川くんはサインとか持ってるの?』
『実は僕も、澤崎さんから直接もらったやつしかサインは持ってないんだ』
『え?九里さんとか持ってるかと思ってたよ!!』
『だってさ。そんなファンアービスする時間、練習とか休養とかしてほしいし、それに・・・』
『それに?』
『いざ目の前に大好きな選手とかが来ちゃうとさ、なんか眩しいっていうか、ドキドキするっていうか・・・そんな事、とても云えないし、出来なくなっちゃうんだよね』
『・・・それ、私が大瀬良さんを球場で見た時とおんなじだよ!!』
『広島さんも?』
『うん!!もうね、何も云えなくってね、心の中で「頑張ってください!!」って云うんだ!!』
『そうなっちゃうよね!』
『あとね、「出来たらお嫁さんにしてください!!」っていうのも、心の中で云ってた!!』
『そこはキッチリしてるんだね』
『もちろん今は云わないよ!!』
『そこもキッチリしてるんだね』
『でも、ほんとにほんとに好きな選手って、遠くから見てるだけで幸せで、絶対にケガしませんようにとか、そんな事しか考えられなくなっちゃうよね・・・(うっとりし始める広島さん)』
『そうだね・・・』
『今でもね、大瀬良さんの顔を見ると、なんか不思議な気持ちになったりする事があって・・・(うっとりから遠い目で「恋する乙女の顔」になる広島さん)』
『そ、そうなんだ・・・(広島さんも、こんな乙女な顔になる事あるんだぁ・・・と、ちょっとドキドキする湯川くん)』


僕の同級生、広島さんは隣のクラスの人気者。

だけど、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。

 

『あ、そうだ!!』
『何、広島さん?』
『この前、谷保さんからね、マリーンズの人のサインが送られてきたんだよ!!』
『え、谷保さんから・・・?(嫌な予感しかしない湯川くん)』
『そう、これだよ!!(と、湯川くんに色紙を見せる)』

 

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『・・・(絶句する湯川くん)』
『由宇ちゃんと湯川くんの分も送ってきてくれたんだ・・・どうしたの、湯川くん?』
『・・・リコ。これ、サインやない。魚拓や』

思わず清田、じゃなくって清太(のマネをしている中川家の礼二)になってしまった湯川くんであった・・・。