広島さん。

某カープ好きグループにてだらだら書きました。

その七十六。(岩国さん。)

僕の同級生、広島さんは隣のクラスの人気者。

だけど、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。


『ねぇ、湯川くん!!』
『何、広島さ・・・い、岩国さん?』
『なんでびっくりしてるのよ』
『いや、パターンってものがあるからね』
『???』
『何でもないよ、気にしないで』
『わかった。ところで、湯川くん』
『わかってるよ、堂林でしょ?』
『わかる?』
『だって、堂林の大ファンの岩国さんが、広島さんよりも先に僕に話しかけてくるっていったら、それしかないでしょ?』
『まあね。ところで、湯川くん』
『何、岩国さん?』
『堂林さんには、「さん」をつけてね、デコスケ野郎』
『・・・気をつけるね(なんで「AKIRA」のセリフなんだろう)』
『(湯川くんの少し考えている表情は無視して)現在セ・リーグ首位打者!!』
『去年まで、だれが想像出来たろうね』
『私、してたよ?』
『そうだろうね。そして、あの満塁ホームラン!』
『私ね、あの打球がスタンドに入った瞬間に気を失っちゃって』
『気持ちはわかるよ』
『でもね、いま、この幸せがいつまで続くんだろうって、ちょっと不安で』
弱気は最大の敵だよ、岩国さん。今シーズンの堂林さんは、もちろん波はあるだろうけど、やってくれると思うよ』
『そんな心配はしてないよ!問題はそのあとなの・・・(急に顔が曇る岩国さん)』
『そのあと?シーズン後の、何が心配なの?』
『堂林さん、死んじゃうんじゃないかしらって・・・』
『な、なにを云ってるの、岩国さん???』
『湯川くん、知ってる?セミってさ、土の中でじーっと何年も何年も暮らして、そしてやっと地上に出て、成虫になって、空が飛べるようになって。でも、一週間くらいで、一生が終わっちゃうんだよ』
『そ、そうだね・・・(云いたい事は理解できたけど、なにを云ったらいいかわからない湯川くん)』
『最近私、堂林さんもそうなっちゃうんじゃないかって、心配で心配で』
『岩国さん・・・(とにかく話しながら考えることにした湯川くん)』
『何、湯川くん』
『・・・大丈夫だよ、絶対』
『なんで?なんで絶対大丈夫なの?』
『だって、堂林さんは・・・セミじゃなくって、プロ野球選手だから』
『・・・そっか。そうだよね!(明るい表情に戻って)さすが湯川くん、かしこいなぁ!リコがいつも「カープで困ったり悩んだりしたら、湯川くんに相談したらいいよ」っていってるけど、本当だね、ありがとう!』
『いや、そんなお礼なんて・・・。それほどでもないよ・・・』

僕の同級生、岩国さんは隣のクラスの人気者、広島さんの大の親友。

だけど、堂林選手について、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。


岩国さんが、なぜ広島さんと仲がいいのか。
分かりすぎるほどわかったな・・・。