その六。
僕の同級生、広島さんはクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。
(湯川くんのスマホに広島さんから着信)
『もしもし』
『湯川くん!月曜って退屈だなぁって、思ってたら社会人野球やっててよかったね!』
『広島さんも見てたんだ』
『おやつ感覚でね!』
『社会人の人に怒られるよ』
『そんな事よりも、明日。すっごい楽しみだよね!』
『そんな事って云わない方がいいと思うけど、明日は楽しみだね』
『マエケンvsカピバラ!なんかポケモンみたいで可愛いよね!』
『個人の感想だね』
『ギータとか捕まらないかな?』
『マスターボールが要るね』
『明日はさぁ、マエケンがズムスタで久々にあれやるんだよね!両腕ぐにゃぐにゃ・・・度忘れしちゃった。何ケン体操だっけ?』
『そこまで出て言えないんだ』
『実はねぇ・・・湯川くん』
『何だい、広島さんにしては随分思わせぶりだね』
『私ね、明日のチケット二枚持ってるの!』
『えっ!!ま、まさかぼ』
『由宇ちゃんと観に行くんだぁ!テレビに映るかもしれないから、湯川くん、ちゃんと観ててね!!』
『あ、あぁ。岩国さんと観に行くんだ・・・現地応援、頑張ってね!』
『もちろん!!じゃあねぇ!(通話終了)』
そう、僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事を云いにくるのが玉に瑕。
そっか、僕じゃないんだ・・・。