広島さん。

某カープ好きグループにてだらだら書きました。

その二十一(広島さん『そうかぁマル悲しいけどこれプロ野球なのよねけどそうそうジャイアンツには勝たせないよ超長いぜ』スペシャルその1)。

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

『彼』が移籍を発表した日、僕の住む町は朝から憂鬱な雨が弱く、ずーっと続いていた。

そんな日に今、僕の家には僕しかいない。
両親は毎年恒例の新婚旅行(!)で安芸の宮島さんに出かけているのだ。
ぬけぬけと新婚とは気恥ずかしいけど、両親の仲が良いというのは素直にうれしい。
それに、こちらも日曜の夕方まで、自由を満喫できるんだから云う事なしと云うものだ。

この話は、そんな金曜日の、深夜の僕の家から始まる。

(リビングでファミスタをずーっとやっている湯川くん)

カープもいいけど、やっぱりナムコスターズだよなぁ・・・「ぴの」が走って「ぱっく」が返す。もう様式美の世界だよ』

(ピーンポーン)

『こんな時間に?(インターホンを取って)はい?』
『・・・湯川くん?』

(インターホンのモニターには雨でずぶ濡れの広島さん)

『広島さん!何やってるの、こんな時間に、そんな恰好で!?』
『(無視して)お家、入れてくれない?』
『いや、それより早く家に帰りなよ、送ってくから!』
『・・・入れてくれないんだ。ごめんね、じゃ』
『待って!いまカギあけるから!!!』

(玄関に広島さんを迎える)

『こんな日にそんな恰好で何してたの、広島さん?』
『(うつむいて)・・・白状するね、湯川くん』
『???』
『ずっと、好きだったの。大瀬良さんの次に』
『・・・え?』
『でも私、「大瀬良さんのお嫁さん」が目標だから、ずーっと黙ってたの』
『き、君の目標は知ってるけど(心拍数ハンパないって湯川くん)』
『でも、もう我慢できなくなって』
『う、うん(色々な回答を考えている湯川くん)』
『(急に湯川くんの手を握りしめ、湯川くんを見つめ)どうしてなの?湯川くん?なんで私を裏切るようなことをするの?』
『??? ぼ、僕は広島さんを裏切ってないよ、むしろ広島さんの事を』
『(湯川くんの話は全く聞かず)なんで丸さんは、巨人に行っちゃったのよぉぉ(泣きだして、その場にくずおれる)』
『んんんっ、そ、そうなんだ。二番目は、丸選手だったんだ・・・(いやな汗をかいている湯川くん)』
『(泣きながら)やだよぉ・・・やだよぉ』
『・・・広島さん』

(嗚咽を続ける広島さん。やがて黙り込んでしまう)

『・・・広島さん?』
『か、カプションッ!(くしゃみをする広島さん)』
『ごめん、と、とにかく上がって!!とりあえずリビングに、いまタオル取ってくるから!!』
『・・・うん』

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

ずぶ濡れの女の子にタオルも持ってこないで。
自分ばかりがドキドキして。
僕はとんだ道化だ、バカ者だ。

・・・カプション?