広島さん。

某カープ好きグループにてだらだら書きました。

その二十二(広島さん『そうかぁマル悲しいけどこれプロ野球なのよねけどそうそうジャイアンツには勝たせないよ前回よりも超長いぜ』スペシャルその2)。

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

ずぶ濡れになってウチにやってきた広島さん。
とにかく風邪だけはひかせちゃだめだ!
その後の僕はといったら、CS出場を賭けて3位争いをするチーム並みに必死だった(笑ってくれてかまわないけど、本当にそんな気持ちだったんだ)。

まず、彼女に着替えを用意し(僕のスウェットと、下着は母のもので適当なやつを彼女に選んでもらった。勿論、その場になんか立ち会ったりしてない)、洗濯乾燥機の使い方を彼女に教え(僕がやるわけにいかないだろう?)、そして彼女がお風呂を使っている間。

僕はリビングでファミスタをやってた。
頭の中で、「彼女の夢は大瀬良投手のお嫁さん」と、何度も何度も呪文のように唱えながら。
おかしいな?「ぴの」が走らない。「ぱっく」も打たない。

『(お風呂上がりの広島さん登場)ありがとう、湯川くん』
『こちらこそ、気が利かなくてごめんね』
『勝手に来たの、私だから(湯川くんのそばに座る)』

(しばらく湯川くんのファミスタを観戦している広島さん)

『・・・湯川くん』
『何、広島さん?』
『なんでタイガース相手に「ぴの」からの好打順で、三者凡退なんかしてるの?コントローラー逆に握ってない?』
『(若干傷付きつつ)ちょっと、落ち着いたみたいだね』
『まあ、ね』
『丸選手、残念だったよね』
『・・・』
『そういえば、ずっと丸選手のFAの事、話題にしてなかったもんね。不安だったのに、一人でずっと我慢してたんだ』
『・・・』
『でも、それだけでこんな時間にずぶ濡れでウチにやってくるほど、無軌道な広島さんじゃないと僕は思うんだ』
『・・・』
『よかったら話してくれないかな?マイナスな気持ちって、ありったけ吐き出すだけでも随分とマシになるし』

(と、ここで湯川くんのスマホに着信。画面には広島さんの親友、岩国由宇さんの文字)

『あ、ごめん!旅行に行ってる両親からだ』

(リビングを出て電話に出る湯川くん)

『もしもし』
『ごめんね、湯川くん!今大丈夫?』
『うん。どうしたの?』
『リコちゃん、湯川くんちに来てない?』
『ななな、なんでそんなことを?』
『さっきリコちゃんのご両親から電話があって!あの子、親子ゲンカして家を飛び出しちゃったんだって!!』
『えっご両親とケンカ!?』
『なんかね、丸さんのFAの事でベランダで泣き叫んでたら、いい加減にしないか、お前が泣いたって丸は帰ってこないんだよ、って云っちゃったらしいの』
『最悪の選択肢だったね。例の砂袋は使わなかったの?』
『ご両親、愛するひとり娘にはブラックジャックは使わない主義なんだって』
『大概はそうじゃないかな。それで?』
『夕食はあの子の大好きな肉うどん定食だから、すぐにお腹すかせて帰ってくるだろうって思って、先に食事済ませてパワプロで対戦してたらいつまでたっても帰ってこないから心配になって』
パワプロ派なのはともかく、どこから突っ込んでいいか分からないね』
『この天気だし、行くところって云えば友達のところだろうって思って、私のところにさっき電話があったの。で、私がいないって云ったら、二人とも大騒ぎになって』
『恐ろしい声が聞けたろうね』
『とりあえず、私が知ってる彼女の立ち寄りそうな所は当たってみますって、何とか落ち着いてもらったんだけど』
『警察は?』
『なんか、キライだからって云ってた』
『言葉もないね』
『で、湯川くんち、リコちゃん来てない?』
『あぁ、広島さんは』

(と、リビングから出てきてこっちを見つめている広島さんに気付く湯川くん)

『・・・来て、ないなぁ。岩国さん、白井さんとか稲葉さん、あとスライリーには連絡とった?』
『それはこれから。じゃ、湯川くん。もしリコちゃんが来たらすぐ連絡して!』

(通話終了)

『・・・盗み聞きはよくないね』
『由宇ちゃんから?』
『そうだよ。ご両親とケンカしたんだって?』
『(うつむいて)なんで云わなかったの?』
『なんでだろうね?』
『湯川くん、私今晩、家に帰りたくないの!お願い、一晩ここにいさせて!!』
『(複雑な気持ちで)ね?そんな気持ちで帰ったって、どうせまた飛び出しちゃうんだろうからさ、岩国さんには黙ってたんだ』
『湯川くん』
『広島さんが、家に帰りたくなったら、僕は岩国さんに連絡する。まずは話そうか?』
『・・・』

(と、広島さんのお腹がグゥ~ッと鳴る)

『あ(真っ赤になる広島さん)』
『その前に、だね。カップ麺でいい?』
『肉うどん、ある?』
『多分ね』

そう、僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

丸、佳浩選手。
貴方の決断のおかげで、僕はちょっとした事になってます。
丸、佳浩選手。
僕の大事な友人が、貴方の事で泣いています。
丸、佳浩選手。
罪な人です、貴方は。

やべぇ、蒙古タンメンしかないぞ、おい・・・。