広島さん。

某カープ好きグループにてだらだら書きました。

その二十四。

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

観る野球は終わったけど、寒い中、まだ草野球はできるわけで。
『ゆかわー、野球やろうぜー』
などという声もたまには受ける。

さぁ、野球だ野球だ。

そんなわけで、気分を高めるべく、僕は駅裏にある小さなスポーツ用品店に出かけた。
前からあったのは知ってたけど、入るのは初めてだ。

『(グラブ売り場で)うわぁ・・・いいなぁ、これ!アシックス・鈴木誠也2018モデル軟式用かぁ・・・でも、高いなぁ』

(グラブをはめてみている湯川くんの背中に)

『なにかお探しですか?』

(声をかけられて振り返ると、そこには店員らしき赤毛の大きな男)

『・・・い、いえ。見てるだけなんです、ごめんなさい』
『とんでもない!!ゆっくり見ていってください。(湯川くんの頭を見て)野球部・・・じゃないね?』
『中学まではやってました。外野の補欠ですけど』
『まぁ、皆がみんな試合に出られるわけじゃないからね(湯川くんの手元を見て)鈴木誠也か・・・君、いいセンスしてるね!もしかして、カープ好き?』
『はい』
『そうかぁ!!なら君と僕はもう友達だよ!!』
『(何を云ってるんだ、この人は?)』
『そういえば自己紹介もしてなかったね、これ私の名刺』
『(名刺を見て)ヒロシマスポーツ・店長。広島ルーリー。・・・広島?(まさか!)』

(と、そこへ湯川くんも聞き覚えのある女性の声)

『あなたぁ!何で私に黙ってお店に飾ってある前田さんのユニをスライリーのに代えたのよ!!(広島さんの母、もみじさん殺気だって登場)事と次第によっちゃあ・・・あら、湯川くん!いらっしゃい!!(ニッコリ)』
『もみじ、知り合いなのか?』
『えぇ。リコのお友達の湯川くん』
『ども』
『そうかぁ!!君が湯川くんか!!改めましてだね。リコの父の広島ルーリーです』
『は、はじめまして(やっぱりそうだったんだ)』
『ルーリーと云うのはアイルランド語で「赤い王」っていう意味だよ!!』
『そうなんですか・・・』
『まぁ、アイリッシュの血は半分なんだけどね。とはいえ、僕の体には100%、カープレッドの血が流れてるのさ!』
『大概は赤いんじゃないですか』
『噂は娘からかねがね。カープの事なら何でも知ってるってあの子がいつも言ってるよ!』
『たぶん、違うと思いま』
『ご謙遜ご謙遜!!そうか、君が!湯川くん、今からこの店はもう君の庭みたいなもんだ。いつでも遊びに来てくれ!』
『・・・はい』
『あなた、湯川くんが困ってるじゃないの。(湯川くんを見て)二人でやってる小さいお店だけど、親切丁寧、出来るだけお安く、でやってるから。欲しいものがあればいつでも来てね(ニッコリ)』
『(ドギマギしつつ)は、はい・・・』
『ところで湯川くん!!(でかい声でルーリーさん)』
『は、はい!』
『君、この週末あいてる?』
『・・・はい』
「よし、じゃあいっしょに野球やろう!!うちのチーム、オッサンばっかりでそろそろ新戦力が欲しかったんだよ!!』
『外野の補欠だったんですけど、いいですか?』
『何言ってるんだよ!!君はわが『広島ルーリーカープ』のドラ1さ!どうだい、もみじ?君の旦那は、緒方監督に負けないくらいのゴッドハンドだろう!?』
『はいはい、何とでもいいなさいな。寒いんだから、オジサンは怪我だけはしないでね!』
『知らないのか?君の旦那は鉄人なんだぞ!!(満面の笑みで)いやー今日は実にいい日だ、なぁ、湯川くん!!』
『(苦笑いしながら嬉しそうに)・・・はい!!』

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

広島さん『わたし出てないし!!』

まぁまぁ。
さぁ、野球だ野球だ!!