その二十五。

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

『湯川くん！』
『何、広島さん』
『ワイハ～、アロハ～、こいほ～！（フラの手付き）』
『カープの優勝旅行の話だというのはわかったよ』
『楽しいだろうね！新井さんも来て、ブラッドも来て！』
『頑張ったご褒美だよね』
『でも、なんでプロ野球選手なのに野球をしないでゴルフをするのかな？』
『プロ野球選手だから野球をしないでゴルフをするんだと思うよ』
『・・・ていう事はカープの選手はみんな、プロ野球ゴルファーっていう事・・・なの？』
『自分で自分の云ってる事が分からなくなったね』
『それとね、湯川くん！』
『何、広島さん』
『アドゥワ君、二十歳だし、この旅行でお酒が飲めるね！』
『そうだね。晴れの暁だね』
『みんなから一人だけビールかけてもらえばいいのにね！』
『地獄絵図だね。そんなにされたら、酔っぱらってトラになるかもね？』
『湯川くん、お父さんと同じダジャレ言ってる』
『・・・』
『コイがトラになっちゃあ、マコトにいけませんなぁとか云わないでよ、ねぇ？（ニヤニヤ）』
『・・・ひ、広島さん！向こうで野間選手が「のぞみ」と競争してるよ！』
『えぇぇ！どっちが速いんだろう、見に行かなきゃ！！（湯川くんの指さす方に走っていく広島さん）』

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

試合に勝って、勝負に負けた気分だ・・・。