広島さん。

某カープ好きグループにてだらだら書きました。

その二十八(広島さん『いよいよ湯川くん広島さんのお父さんのチームで野球するけど事態は波乱含みだよ超長いぜ前夜祭』スペシャル)

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

なのだが、彼女の事はさておき・・・。
事件?は木曜日の夕方に始まるのだ。

(放課後になり、帰り支度を始める湯川くん)
『あ、そうだ。今日はルーリーさんのお店に行って、ユニフォームもらって来なきゃ。(ニヤニヤしながら)僕のラッキーナンバーの50番。楽しみだなぁ』
『ずいぶん嬉しそうだな、湯川!』
『?』

(振り向くとそこには広島さんと同じクラスの男子、湯川くんとは中学時代の同級生で当時の部活仲間、現在も野球を続けている福岡鷹一[ふくおかよういち]が立っている)

『なんだよ、福岡か。部活休みか?』
『んなわけねぇだろ。お前に話があんだよ』
『オレに?』
『お前、日曜日ヒロシマスポーツの店長さんとこのチームに入って試合するんだってな?』
『なんでお前がそんなこと知ってんだよ?』
『相手がウチのオヤジのチームだからだよ』
『あぁ(納得)』
『わりぃけど、その試合、オレも出るから』
『・・・マジ!?』
『いつもだったらオヤジの草野球なんてアホ臭いから行く気もしなかったけど、お前が出るって親父から聞いたんでさ』
『え、意味わかんない。中学のおんなじ野球部だったけど、補欠のオレが試合にでるだけで、なんでその当時もエースで四番で、高校に入ってからもいきなり1年生エースになっちゃってるお前が出るわけ?新手のいじめ?』
『(ボソッと)いじめられてんのはこっちだよ』
『何?』
『・・・湯川!この日曜日の試合でもしお前が負けたら、オレに約束しろ!!』
『(何云ってんだ、こいつ?)』
『お前が負けたら、もう二度と広島さんと口を聞かない事。いいな!?』
『???』
『返事は!!』
『いや、ますます意味わかんないから。大体さ、話をしに来るのは彼女の方だぞ?』
『知ってるよ、それぐらい!!彼女が来たら「迷惑だ」とか何とか云って二度と来ないようにさせろよ!いいか?』
『・・・福岡』
『何だよ』
『お前、まさか広島さんが』
『わぁーっ!!わぁーっ!!わぁーっ!!(顔真っ赤)』
『分かりやすいな』
『うるさいな、いけないのかよ!!』
『いけなかないよ。告ればいいじゃん?』
『・・・やったんだよ』
『マジ!?(興味津々で)いつ、いつ?』
日本シリーズ直後に』
『最悪のタイミングだな。なんでセリーグのCS終わりじゃなかったんだよ。・・・で?』
『放課後、渡り廊下のところで』
『ふんふん、なんて告白したの?好きです?付き合ってください?』
『僕の、プライベートの練習相手になって下さい、って』
『分かりにくいよ!!で、彼女は?』
『ちょっと困った顔で「ごめんね、私キャッチボールひとつ満足に出来ないから、福岡君とは無理だと思うんだ」って』
『・・・』
『振られたんだよ、オレはっ!!』
『いや、違うぞ、福岡。彼女の言葉はそのまんまだとおも』
『うるせぇな、お前にオレの気持ちがわかるかよ!自分はヘラヘラヘラヘラ彼女と毎日話しててさ。マジムカつく!』
『福岡、勘違いすんなよ。オレと広島さんは』
『信じない!!』
『ふくおか・・・』
『いいよな、お前は!たまたまカープファンってだけであんな可愛い子と話ができて。カープの話をきいてあげてご機嫌とってヘラヘラしてさ。お前、ホストなの?』
『福岡、やめろよ(困った顔)』
『広島さんも広島さんだよ!こんな野球のど下手くそな奴にちょっとご機嫌とられるだけでのぼせ上がって』
『・・・福岡。オレの事はいいよ。広島さんに対してのお前の言い方は気に入らないぞ』
『サンキュー。オレはお前が何から何まで気に入らない』
『・・・わかった。その話、乗ろうじゃん。オレが負ければ、もう二度と彼女とは口をきかないし、出来るだけ彼女を避けるよ。そのかわり』
『そのかわり?』
『もし、オレが勝ったら、オレに土下座して、「わたし福岡鷹一は、女に振られてやけくそになって、私より何百倍も野球が上手い湯川さんに馬鹿な勝負を挑んで、その挙句にあっさり返り討ちにあった、腰抜けのバカ野郎です」って、五回言え』
『湯川、おま(怒)』
『訂正。十回な』
『マジ勝てると』
『二十回』
『ふざ』
『五十回』
『・・・わかったよ。やったろうじゃん』
『おう、じゃあ、日曜日な』

******

『って、いう事があったんです、お父さん』

(場面は変わって広島さんのご両親が経営するお店「ヒロシマスポーツ」店内。いきさつを説明し終わった湯川くんと、それを聞いて人殺しの顔になってる広島さんの父、ルーリーさん)

『・・・五十回じゃ足りないな、湯川くん』
『お父さん?』
『そいつの額に、その文句を彫り込んでやろう』
『・・・』
『冗談だよ。それにしてもわが娘ながら鈍感過ぎにも程があるなぁ』
『いや、福岡が勝手に独り相撲してるだけで』
『OKしてれば即戦力投手が手に入ったのに』
『お父さんっ(怒)!!』
『冗談だよ。まぁ、大丈夫だよ。負けないから』
『あの、お願いがあるんですけど』
『?』
『先発で行きたいんですが』
『もちろん。うちは当てにならない控えが一人いるだけだから、君にもレフトで』
『そうじゃなくて、先発投手で、お願いします』
『・・・驚いたな。経験は?』
『ないです。でも、福岡のバカには負けたくないんで』
『とはいえ、なぁ・・・』
『大丈夫です、全部抑えますから。弱気は最大の敵、なんじゃないんですか、お父さん?』
『(苦笑)その通りだよ。でもね、マウンドに立ってる時の津田は、今の君みたいに頭に血を上らせてたかな?』
『・・・』
『オッサン達は体力は無くなってきてるけど、経験値ってもんがあるんだよ』
『お父さん』
『湯川くん、舐めてもらっちゃ困るな、わが「広島ルーリーカープ」を。ホークスかぶれの福岡のオヤジのにわかチームなんか、三年前の初対戦から、一度も負けたことなんかないんだぜ(ニヤリ)』
『お父さん!』
『よし、練習だ』
『今からですね!?(嬉しそう)』
『当たり前だろ?まずはメンバーに君を紹介して、君がレフトに入った際の各ポジションの連携だ。その後はミーティング。その福岡のせがれの事を、何でもいいから話してくれ。その上でメンバー全員で福岡のせがれ対策を考えよう』
『分かりました、お父さん!』
『(スマホをいじりながら)魚広さん、まだ大丈夫だよなぁ?朝早いから、あの人たち・・・三条はまぁOKとして、サントスは・・・あ、今日バイト休み。よしよし・・・トシさん、大丈夫かなぁ?まぁとりあえずダメもとで・・・。湯川くん!』
『はい!』
『メンバーに連絡入れるからその間ウチにおいてある練習着に着替えてて』
『分かりました、お父さん!!』

(着替えにその場を離れる湯川くん。と、入れ替わりに広島さんのお母さん、もみじさん登場)

『青春ねぇ(クスクス)』
『かわいいもんだよ。男の子はあれぐらいバカでないと』
『もっとおバカさんがここにいますけどね?』
『ひどいなもみじ。そのバカに惚れたのは、誰なんだい?』
『誰だったかしら』
『意地悪だね』
『貴方にだけはね』
『(苦笑い)』
『それよりあなた、随分嬉しそうねぇ』
『そりゃそうさ、久しぶりの試合』
『じゃなくって(ニヤニヤ)』
『(動揺しつつ)なんだよ!』
『リコとおなじ年頃の男の子に「お父さん」って』
『(顔を真っ赤にしつつ)ば、馬鹿な事を!!』
『はいはい、ごめんなさいねぇ』
『(スマホにてメンバーに電話をかけ)まったく、ひどいな、君は・・・。まぁ、そんないじわるな所もかわ(相手が出て)あ、魚広さん?今から練習来れる?・・・待ってたの!?(爆笑)・・・よし、じゃあいつもの所に一時間後ね!(こんなふうにメンバーを招集するルーリーさん)』

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

広島さん『出てないでしょ!!』

まぁまぁ。

さぁ、絶対に負けられない戦いの野球だ!