広島さん。

某カープ好きグループにてだらだら書きました。

その三十(広島さん『野球だ野球だ!相変わらず超長いぜ今日で終わらないよごめんなさい』スペシャル その2)

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

草野球なのでまずはお互い本塁前に並んで、礼をする。
僕、湯川の前には当然福岡鷹一が来たりするわけで。

『湯川、絶対お前だけは絶対打たせない!』
『勘弁してよ。普通にやればこんな帰宅部野郎なんか三球以内で終わりでしょ、何イキってんの?もしかしてラッキーパンチが怖いの?タカじゃなくてチキンなの?』
『おま』
『互いに、礼!!』

鷹一の言葉は特別ゲスト・白井審判の掛け声と、両チームの挨拶で聞こえなかった(笑)。

さぁ、いよいよプレイボールだ。
先攻の僕ら、広島ルーリーカープはベンチに戻り、最後の指示をルーリーさんから聞く。

『これは全員が分かってると思うが、あの福岡の小僧はそうそう打てないだろう。少ないチャンスをものにするためにも、全員があいつに球数を投げさせる努力をする事。特に柳、お前は一番なんだ。5球以下で帰ってくるなんて事は絶対するなよ』
『わかってますけど、神のみぞ知るですよ、ルーさん』
『おまえ、坊主だろ(笑)。あと、テラ(寺内)さんも可能な限り粘ってください』
『タフなゲームになりそうですねぇ、広島監督。とはいえ、やれるだけは』
『やれるだけじゃ困るんだよ、テラさん。今日はウチのゴールデンルーキーのデビュー戦なんだ』
『(先発のよし子さん)勝たなきゃね』
『勝つ?違うだろ、よし子さん』
『あ、ごめん、ルーリーさん(笑)。殺すのよね』
『(旦那の四郎さん)違うぞ、よし子。ぶっ殺すんだ。なぁ、湯川くん?』
『はい・・・』

さて、ようやく試合開始だ。
ここからはテキスト中継風な描写を入れながら話を進める。

[1回表]広島ループの攻撃。
1番:『自称、カープ坊主』こと本業はお坊さんの遊撃手・柳 純真さん。
二球で追い込まれるも、その後ファウル、ボールで粘って10球目にスイングアウトの三振。
2番:『赤い喪服を着た男』こと本業は葬儀屋の二塁手寺内健太郎さん。柳さんとの二遊間は日本一しめやかだというもっぱらの評判。
こちらも粘りに粘って11球目で遊ゴロ、ツーアウト。
3番:『野球を始めたのは中学時代に嫌いな担任からバスケをしつこく勧められたから』こと2mの大男、郵便局勤務の一塁手・三条 正平さん。
初球ストレート見逃しの後、二球目の曲がらなかったスライダーを見逃さず、ヒット!
この時点で福岡鷹一、ノーヒッターは無くなる(笑)。
(三条さん談)「曲がらないスライダーって、ほんと可哀そうだよねぇ。本当は曲がりたかったんだろうにねぇ」
4番:『オレの体を切ってみろ。カープレッドの血が出てくるぜ』こと三塁手兼監督・広島ルーリーさん。
昔、パ・リーグによくいた外国人選手並みの豪快なフルスイングで三振。
スリーアウトチェンジ。

[1回裏]福岡Gホークスの攻撃。

広島ループ名物、捕手の四郎さんの掛け声、

『殺していこうっ!!』

のコールからスタート。

1番:福岡正義さんの会社の人、見せ場なく三球三振。
2番:上に同じ。
3番:『このゲームで一番客を呼んだ男』こと投手・福岡鷹一。ループの先発・よし子さんをおばさん投手と見くびって、あっさり三球三振。
スリーアウトチェンジ。
(外木場よし子さん談)「まぁ、こっちがどんなんかはわかっただろうから、次が勝負だわねぇ」

[2回表]広島ループの攻撃。
5番:『ドミニカ人と勘違いされてチームに入ったけど、もともと野球は大好きだったんだ』こと、ブラジルからの留学生、サントスさん。
こちらもルーリーさんに負けず劣らずのフルスイングで三球三振。
(サントスさん談)「ヤッパリ、ハツモノ、ムズカシイネ。デモ、ウツヨ』

そして、6番。

僕、湯川の打順だ。
ネクストサークルから打席に行く途中、ベンチからルーリーさんの大きな声。
『冷静かな!湯川くん!?』
『大丈夫です、ルーリーさん!(笑顔)』
『その意気だ!』

フラットな気分で。
いや、若干ウキウキしながら打席に向かう。

『・・・大丈夫だな』
『そうね、「お父さん」ってあなたに言わなかったものね(ルーリーさんの愛妻で町内でも有名な美魔女こと、広島もみじさん、なぜかベンチに登場)』
『そうだな・・・って、もみじ!!客席にいないとだめじゃないか!君目当てでここにきてる馬、いやお客さんも多いんだぞ!』
『すぐもどるわよ。私はこの子を連れてきただけ』
『?』
『じゃーん!!(もみじさんの後ろからユニフォーム姿の広島さん登場)』
『リコ!?お前、いつの間にそんな服を』
『お願いして作ってもらったの!』
『!?もみじ、君か!』
『まさか(笑)』
『じゃあ、誰が』
『おれだよ、ルーリー』

(振り向くルーリーさん。視線の先には同じくユニフォーム姿、小太りな壮年の男性が手帳とパソコンで何やら作業中)

『・・・父さん!』

(そのやり取りを見ながらこちらに目線を合わせている三条さん)

『はい、中継の三条です。いま、ルーリーさんが「オヤジ」と云ったのは、彼の実の父親、リコちゃんのおじいさん、広島鯉太郎さん(56)です。湯川くんが来るまでは左翼手兼スコアラー兼マネージャーでした。やっと若い子が来たので、選手は引退。今は本人も大好きなデータ収集と分析に没頭しています。以上、広島ループベンチから三条でした』

『いや、父さん?もみじとリコは客席において盛り上げ役に回ってもらわないと』
『いつもならそうだけどな。今回は違うぞ、ルーリー。この試合に限っては、リコはベンチに置かなきゃならんよ』
『・・・父さん。それを分かってない僕じゃないんですが、年頃の男の子には、あんまり残酷じゃないですか?』
『お前、どんな汚い手でも使うって、正平君にも云ったんだろう?』
『そーですよぉ、鯉太郎さーん(挙手をする三条さん)』
『正平、おま!』
『落ち着け、ルーリー。まともに考えて、あの湯川って子がかなう相手じゃないだろう、福岡の倅は?』
『だから』
『いろいろな手を使うつもりなんだろ、どんな汚い手でも?』
『いや、実は、ちょっとどうかなって』
『(ルーリーさんの言葉を遮り)息子よ、聞いてくれないか?オレはな、福岡の倅がいくら泣こうと全く気にしないが、可愛い孫の悲しい顔は見たくないんだよ。それだけだ。老い先短い年寄りの楽しみを、どうか奪わないでおくれ、愛する息子や(最後は哀願)』
『・・・分かりましたよ、父さん。哀れな老人プレイはやめてください』
『(底意地の悪そうな笑顔で)聞き分けのいい息子は大好きだよ、ルーリー。(と、一瞬でその表情を消し去り、お人よしのお爺ちゃん顔で)おいおい、リコ!我らがルーキー、湯川くんの初打席だ!マネージャーのお前が先頭切って声を出さなきゃダメだろ?』
『わかってるよ、おじいちゃん!!』
『(目立たない鈴木さん)じゃあ、ここは何かひとつ、歌でも歌ってみますか?ねぇ、草野球なんだし。いかがでございましょう?』
『(よし子さん)いいねぇ、スーさん!何にしようか。リコちゃん?』
『もう決めてあるの!』

何も知らない哀れな僕。
フラットな気分で打席に立つと。
ベンチから広島さんの応援歌。

『振らにゃ~、何も~、始まらないからぁ~♪』

あの、一応6番なんですけど、自分?
若干凹みながら前を見ると。

広島さんの応援歌を独り占めしてる僕に、

『湯川は絶対殺すマン』

になっている鷹一がマウンドで燃え上がっていた。

・・・神様っていないんだな、とか思ったりした。

僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない事をいいにくるのが玉に瑕。

『プレーイ(若干投げやりな感じで)』

ぬるい感じの白井さんのコールで、僕の広島ルーリーカープの、きな臭い初打席が始まった・・・。