その五。

僕の同級生、広島さんはクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない質問をしてくるのが玉に瑕。

帰宅中の湯川くんの背中に、元気な声。

『湯川くぅーんっ！！（走り寄る広島さん）帰り道、同じなんだね！』
『う、うん・・・』
『湯川くん、聞いてくれる？』
『何？広島さん』
『大瀬良さんが結婚したら、絶対泣いちゃうんだけど。ザキの結婚はすごくうれしいの！』
『大瀬良と中崎の扱いが微妙だけど、個人の感想だからね』

しばらく黙って歩く二人。

『湯川くん、いつもこの道で帰ってるんだ！同じだね！』
『そ、そうなんだ』
『この帰り道、大好き。まっすぐで、空が高くて・・・「全ての道はズムスタに通ず」って、本当だよね』
『Number とかフルカウントの見出しっぽいけど、違うよ』
『フェイクニュースなの？』
『丸、巨人移籍確定とかならそうだけど、いわゆるパクリだね。名言だから調べてみたら？』
『（スマホで検索）・・・あ、中畑さんが』
『どういう条件で検索したのか知らないけど、オートバックスは関係ないよ』
『（検索中）あ、ローマにも通じてるんだ！』
『ヤマザキマリと塩野七生に殴られるよ、広島さん』
『（全く耳を貸さず）あ、私ここから違う道だから！じゃぁねぇ！（走り去る広島さん）』

そう、僕の同級生、広島さんはとなりのクラスの人気者。
だけど僕にだけよく分からない質問をしてくるのが玉に瑕。