その四十九。
僕の同級生、広島さんは隣のクラスの人気者。
だけど、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。
『ねぇ、湯川くん!!』
『何?広島さん』
『鹿児島のじいちゃんばあちゃん、あいつやらかしたよっ!!・・・だね』
『怒ってるんだね、松山に』
『違うよ!もっとできる人だから悔しいんだよ!!』
『前向きが一番だね。でも、松山さんって真面目そうな人だから、悪いイメージを引きずって、考え込んじゃうのかもしれないね』
『私なんか肉うどん食べたらたいがいのイヤな事は忘れるよ!』
『そんな人ばかりだといいんだけどね。アタマの切り替えって意外と難しいもんだよ』
『切り替えるんじゃなくて、取り換えればいいんじゃない?』
『本物のアンパンマンならそれでもいいけどね、カープのアンパンマンにはそれは無理なんだよ』
『・・・カープには、ジャムおじさんがいないから?』
『もうそれでいいよ』
『それとね、湯川くん!』
『何?広島さん』
『クレートさんが一時帰国だって!!』
『あぁ、確か奥さんの出産に立ち会うためだよね』
『奥さん、幸せ者だね!安心できるよね!』
『・・・クレートさん好きなのに、寂しくないの?』
『大丈夫!退団だったら泣いちゃうけど、クレートさんの幸せが増えるんだもの、大歓迎だよ!!』
『クレートさんに聞かせてあげたいね』
『大丈夫、スライリーを通じて、もう伝えてるよ!』
『・・・』
『代わりに来日するフェリシアーノさんにも「お帰り!」って伝えてもらうようにお願いしてあるし。あとはバティスタが活躍して、フェリシアーノさんと一緒にお立ち台に立つ日を待つだけだよ!』
『そ、そうなんだ、楽しみだね・・・』
僕の同級生、広島さんは隣のクラスの人気者。
だけど、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。
恐るべし、広島さんのスライリー・コネクション・・・。