その六十六(広島さん選手名鑑・その二)。
クサクサしてる方も多いでしょう。
もちろん、私もクサクサしてます。
そんなわけで。
登場人物インタビュー、第二回です。
広島さんからは『湯川くん』のご指名でしたが。
読者の方からの要望(笑)で、広島ルーリーカープ、不動の一塁手。
三条正平さんに色々お伺いします。
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ー宜しくお願いしますー
『こちらこそ。何だか、恥ずかしいですね。湯川くん、ごめんね!』
ーえぇ、では。改めて自己紹介をお願いしますー
『はい。三条正平(さんじょうしょうへい)です。ルーリーさんの草野球チームで一塁手をやらせてもらってます。身長は209cm。右投げ右打ち。血液型はA型。誕生日は一月二十三日です。日本郵便で働いています』
ーいやぁ、改めてお会いすると、大きいですねぇー
『はい。どんくさい大男です』
ーいやいや!!ご謙遜ですよ。ベーラン15秒前半って、プロレベルでしょ!ー
『有り難うございます。この図体のおかげで、ずいぶん盗塁も稼がせてもらってます』
ーたしかに、何も知らないバッテリーが三条さんの体格で盗塁を警戒、というケースはあまり無いでしょうねー
『卑怯者なんですよ、僕は』
ーご謙遜その二ですね。質問を続けます。野球を始めたきっかけは?ー
『中学の時です。僕の通っていた学校は、文化系と体育系、両方の部活に入らないといけなかったんです。で、文化系は美術部を選んで』
ー体育系は野球だったと?ー
『簡単でしょ?まぁ、美術部は、ほぼ幽霊部員でしたけどね』
ーでもサッカーとかバスケットとか。三条さんの体格なら色々誘われたんじゃないですか?ー
『まぁ、ね。特に体育の先生には・・・(ちょっと苦い顔)』
ー何かあったんですか、その方と?ー
『いや、たいしたことじゃないです。もう時効ですからいいますけど、その先生、僕が部活選びを考えてる時に「三条は身体デカいからバスケットやれ!」って、ずーっと仰ってましてね』
ーうわ、今だったら大問題じゃないですか!ー
『この人は僕という人間じゃなくて、僕の身長しか見てないのか、なんて、子供心にもガッカリして』
ーで、野球部に入った?ー
『はい。腹いせでしたけど、今はその方に感謝してます』
ー高校でも野球を続けた、と資料にありますー
『軟式ですけどね。で、高校を出てから今の日本郵便に就職して、その数年後にルーリーさんと出会ったんです』
ー知り合いの草野球の助っ人で行った先に、同じく助っ人で呼ばれたルーリーさんがいたんですよねー
『はい。その後も何度か一緒にプレーしたんですが、強烈な人でねぇ。絶対決めなきゃいけないところで、必ず期待以上に応える。四番気質って、こういうのだなって。僕には逆立ちしても真似出来ないなぁ、って。ちょっと憧れましたね』
ーでも、ルーリーさんも、三条さんの手堅さが自分にない部分だ、と云ってますがー
『それはもう、最初の出会いからずーっと云われてます。「しょうへい!!オレがチーム作ったら絶対来いよ!お前の手堅さが、オレのチームには絶対必要なんだ!わかったか?・・・うん、来るんだな、よし!!」ってね』
ー先ほどの体育の先生もビックリな強引さですねー
『でも、ルーさんは、「お前が絶対必要なんだ」って云ってくれたんですよ』
ー行かないわけにはいかないですねー
『えぇ、忘れもしません。窓口でご近所のおばさんの年金の相談を聞いてたんですが、そこにいきなり、ルーさんが飛び込んできて、「しょーへい!!オレ、チーム作ったぞ!オレがサード。お前がファーストな!!」って』
ー広島さんのご一家って、基本そんな感じですよねー
『普通なら「なんだコイツ?」ですけどね』
ーで、その時三条さんは、なんと答えたんですか?ー
『あとは、誰がいるんです?って』
ーその話はあとで、じゃなかったんですねー
『だって、そこは大事でしょ?』
ーお仕事中でなければですがー
『だから、僕は自己中心的な人間なんです』
ーそれで、ルーリーさんの返事は?ー
『もうね、あの人を全部表してる言葉なんですが。「馬鹿野郎、これから探すんだよ!!」って。爆笑しちゃいましたよ』
ー投げも投げたり、打ちも打ったりの会話ですねー
『でもね、その強引さと、僕がファーストやりたいって云ってたのを覚えててくれたのが凄く嬉しくて。メンバーが揃うまで、ルーさんと鯉太郎さんと僕と。三人だけの練習でしたけど、すごく楽しかったですね』
ーそういえば、なんで三条さんはファーストに固執するんですか?ー
『的はデカい方がいいでしょ?』
ーいや、それだけでは説明出来ないですよね。このチームでファースト以外を守るくらいなら、野球やめるとまで云われてますけどー
『大袈裟ですよ!まぁ、大体あってますけど』
ー広島ルーリーカープへの思いはともかく、なぜ、そんなにファーストにこだわるんですか?三条さんは肩も強いと聞いていますし、外野向きだと思うんですがー
『ファーストって、守備機会が一番多いでしょ?僕はね、卑怯者のええかっこしいなんです。他の野手が一生懸命拾ったボールを、僕が確実に捕って、アウト。捕れて当然、捕れなきゃクズ呼ばわり。そこがシビれるんです。どんな球でも受けますよ。難しければむずかしいほど、僕のプレーがカッコよくなるでしょ?』
ー手堅い三条さんの、ちょっと欲張りな面を見たような気がしますー
『僕は元々欲張りな人間なんですよ』
ーどこまでも悪人ぶるんですね。では、最後に一言お願いしますー
『野球の華は、一塁にあります』
ー有り難うございました。では、次のインタビューは、誰に?ー
『そりゃ、湯川くんですよ!彼にはホントに申し訳なくって』
ーでも、断らなかったんですよね?ー
『云ったでしょ?僕は欲張りの、卑怯者なんです』
ー有り難うございましたー
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※リクエスト次第では、湯川くんのインタビューは繰り上がりますw