広島さん。

某カープ好きグループにてだらだら書きました。

その八十二。(広島は屈しない)

僕の同級生、広島さんは隣のクラスの人気者。

だけど、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。

 

『ねぇ、湯川くん!!』
『・・・』
『湯川くん!!』
『・・・』
『湯川くん?』
『・・・』
『えいっ(湯川くんの鼻の穴に綿棒を入れる広島さん)』
『ぬわぁっ!!な、何するのさ、広島さんっ!!』
『よかった、意識はあるんだね。尻子玉を抜かれたのかと思ったよ!!』
『意識はあるよ、まったく・・・・・・・・・尻子玉?』
『(質問は無視して)どうしたの、一体?』
『いや、尻子だ・・・もういいや。どうしたも何も、例の事件のことだよ』
『マリーンズの清田さんのことだね?』
『その事で僕が凹んでるんなら、ここのタイトルは「幕張さん」になってると思うよ』
『やっぱり違うんだ、安心したよ!!』
『確認の方法が間違ってるし、これで安心する意味が分からないけどね』
カープクラスターの事だよね、湯川くん?』
『そう。野手だけじゃなくって投手まで・・・』
『しかも湯川くんの大好きな九里さんだもんね』
『誰がなっても悲しいけど。よりによって九里だなんて・・・(ため息の湯川くん)』
『五百球投げても平気な九里さんでも、感染するんだね・・・(ため息の広島さん)』
『九里の頑丈さと感染は関係ないし、何より五百球も投げないけどね』
交流戦もどうなるのかな?』
『不安しかないよね。開催されても完全な戦力は望めないし、日程だってどうなるか』
『・・・(無言で話を聞く広島さん)』
『不戦敗なんて事になればそれこそ目も当てられないよね』
『・・・(やっぱり無言の広島さん)』
『実はね、広島さん』
『何、湯川くん?』
今年こそ、岩国さんと広島さんと一緒に行こうと思って、マリーンズのチケットをとってあったんだ・・・』
『ホント、湯川くん!?』
『うん・・・でも僕、行こうかどうしようか迷ってるんだ』
『清田さんは契約解除されたよ?』
『そうだね、でもそれが理由じゃないから安心して』
『湯川くん、冗談も通じないんだ』
『本気じゃないって思ってたけど、その言葉で安心したよ・・・ねぇ広島さん、今のカープをどう思う?』
『だい好きだよ』
『それは僕もそうだけど、そうじゃなくて。今のカープは全く戦力が整ってないどころか、まだ感染者が増えるかも知れないよね?』
『まあ、それはそうだね』
『中止は仕方ないから諦めもつくけど、もし開催されたからって、こんな状態のカープを笑顔で応援出来るかどうか、自信がなくて。いつもだったら球場に行く前ってさ、小さい頃の遠足みたいに前の日からワクワクして仕方がないし、行ったらもうずっとさ、夢の中にいるみたいな気分になれるけど。今の不安な気分のまま、球場に行っても・・・って考えると』
『津田さんに怒られるよ(少し口を尖らせてる広島さん)』
『そうだね、「弱気は最大の敵」。でも、こんなもやもやした気分じゃあ』
『湯川くん!!(いきなり手を握り、湯川くんの目の前に顔を近づける広島さん)』
『!?』
『不安なのは、私たちだけじゃなくって、カープのみんながそうなんだよ!?キクなんか喘息持ちなのに熱まで出すような事になって、羽月さんだって、誠也だって、チョーさんだって、これからだって時に陽性反応が出て。大瀬良さんが離脱してから投手陣を支えた九里さんだって、九里さんと一緒に初めて試合に勝った奨成さんだって、みんなみんな悔しい思いをしながら不安と戦ってる。西川さんやマッちゃんだって悔しい思いをしてるだろうし、今は無事な広輔さん達だって、いつ自分が感染者になるか分からないまま、それでも今自分が出来ることを、一生懸命やってるんだよ?』
『広島さん・・・』
『そんな人たちを、私たちが支えなくってどうするの!?球場に行くことが良いことかなのかどうかは分からないよ、でも、湯川くんがそんな悲しい気持ちでいることをカープの人たちが知ったら、どんな気持ちになると思う?こんな時だから、カープには「大丈夫、いつも私たちが付いてるよ」って伝えてあげないと!!』
『・・・広島さん』
『何、湯川くん』
『広島は、屈しない。だよね』
『そう!広島は、屈しない、だよ!!』
交流戦、中止になるかも知れないけど』
『それは仕方がないよ!!』
『もしかしたらシーズンが中止になるかも知れないけど』
『いままで開催されてたことに感謝だよ!!』
『でも、試合があるんだったら』
カープのみんなが野球をやるんだったら!!』
『どんなかたちでも、応援するしかないね』
『それしかないよ!!』

(同時に微笑む湯川くんと広島さん。と、ここで湯川くん、広島さんが自分の両手を強く握りしめてて、しかも自分の目前に広島さんの顔があることに気付くw)

『ひ、広島さん・・・(顔が赤くなる湯川くん)』
『何、湯川くん?』
『近いよ・・・。あと、手が、痛い・・・』
『・・・あっ(自分の状態に気付き、慌てて湯川くんから離れる広島さん)』
『あ、有り難う、広島さん。なんか、吹っ切れたよ』
『う、うん。良かった、いつもの湯川くんだね・・・(少し気まずい顔の広島さん)』
『ごめんね、広島さん(気まずい顔の広島さんに気まずくなる湯川くん)』
『こ、こっちこそ、ごめんなさい・・・』
『いや、広島さんは悪くないし(手、握られるなんて初めてだから驚いたけど)』
『ホントごめんなさい!!』
『いや、そんな、どっちかって云えば僕は』
『湯川くん!!(また湯川くんに近づく広島さん)』
『な、なに?ひろしまさん・・・(ドキドキしてぜんぶひらがなで話す湯川くん)』
『これ、使って!!(ウェットティッシュを差し出す広島さん)』
『!?』
『私、感染してないと思うけど、もしかしてって事もあるしね!!あ、もちろん湯川くんが感染してるって思ってないけど、一応ね、私もちゃんとしないとだよね!!(などと云いつつ自分の手を一生懸命アルコール消毒する広島さん)』
『あぁ、そうだよね・・・』
『ちゃんと手拭いてね!!(などと云いつつ顔や首回りも丁寧に拭く広島さん)』
『うん・・・(どっちかっていうとあんま拭きたくないんだけど手を拭う湯川くん)』
『万が一湯川くんからうつるとかあったら大変だしね!!もちろん私から湯川くんに感染してもダメだし、まあそれは絶対ないけどね!!』
『そうだよね・・・(なんか「ユカワ菌」みたいな扱いで複雑な気分の湯川くん)』

 

僕の同級生、広島さんは隣のクラスの人気者。

だけど、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。

 

そうだよな、何がどう間違っても。

広島さんが僕にそうなるはずはないよな・・・。

(どうなるかは、聞かないで)

 

 

※球場に足を運ぶことについて、また非常事態宣言が出ている地域もある中、選手達が全国を移動しながら公式戦を行うことの是非などについては色々ご意見もあるかとは思います。が、それはさておき。ここで云いたいことは『どんな状況でも我々ファンが出来る事は、応援あるのみ』という事です。ここの内容について、感染リスクを軽視した意図を持って書かれたものではない事をお断り致します。