その五十八。
僕の同級生、広島さんは隣のクラスの人気者。
だけど、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。
『ねぇ、湯川くん!!』
『何、広島さん』
『山口君、すごかったね!!』
『まだ出てくるのかよ、孝行息子!だね』
『初先発、初勝利、初完封!!』
『先発陣に明るい材料だね』
『おまけに野手陣がかたき討ちのように点を取りまくって!!』
『開幕直後にやられた恨みをはらすみたいだったね』
『ルーズベルト・ゲームじゃなくて、ブッシュ・ゲームだね!!』
『圧倒的な威力で揉みつぶすって事だね』
『さばくのあらし!!』
『僕らは生まれてないね』
『いい言葉でしょ?試合が終わってから考えたんだ!!(得意満面)』
『せっかくだけど、使わない方がいい言葉だね』
『お父さんは、いいな、それ!って褒めてくれたよ?』
『ルーリーさんはそうだろうね』
『それとね、湯川くん!!』
『何、広島さん』
『山口君のヒロイン、なんか・・・よくなかった?』
『あぁ、はにかんだ感じで「やったよ」って』
『なんかよくない?よくない?』
『・・・』
『よくない?よくない?ねぇ、よく』
『あ!広島さん!!向こうでつば九郎がソンタク、ソンタクって、泣いてるよ!!』
『えぇっ、大変!!慰めて来なきゃ!じゃぁねぇ!!(走り去る広島さん)』
僕の同級生、広島さんは隣のクラスの人気者。
だけど、僕にだけ訳の分からない事をいいに来るのが玉に瑕。
なんだろ。
なんか、広島さんに、初めてイラッとした。